

列車に乗ることでしか見つけられないこと、感じられないことだってある。
近年すさまじいスピードで世界は変化しており、電車も性能が良くなったため短時間で色々な場所へ行けるようになりました。
特に通勤や通学などの日常使いでは1分でも早く到着したほうが利用客にとってはありがたいでしょう。
企画列車はご好評頂いていますが、1本乗り過ごしたら次の列車は1時間後という非常に少ない運航状況の若桜線。その限られた時間の中で何か出来ることはないだろうか?
「どんな困難でも見方を変えればきっと新しい価値が生まれる」という私のモットーを反芻していたら、あるアイデアを思いつきました。
列車を1日中乗り放題にし、自転車を貸し出す。乗客は自転車を列車に積み込んで気になった町で降り、次の列車がくる1時間の間に町をふらっと散策してもらいます。
列車を楽しむだけでなく、沿線の町を知ってもらうこともできるでしょう。
そこで地元商工会青年部や鳥取県若手制作研究チームと一緒に、2011年11月27日に「若桜鉄道サイクルトレイン」というイベントを開催しました。
当日は多くの方が参加され、「いつも見慣れているものとは違った風景が見えた」「久々に自転車に乗っていい運動になった」など多くの方々に楽しんで頂けたと思います。
特に子どもは大喜びでした。鳥取県は車社会、親がdoor to doorで送り迎えするため、子どもが列車に乗る機会はめったにありません。
確かに時間の合理性から考えれば自由に動ける車のほうが理にかなっていますからね。
若桜鉄道及び若桜町近辺の交通網は便利とは言えません。
しかし便利さには代え難い物があると私は思っています。
例えば、若桜線の横に山が連なっているのですが、雪が降り始める季節、しかも朝の僅かな時間に、霜が積もりとてもきれいなんです。
自分で運転しながらだと周りの景色をゆったり眺める余裕なんてないでしょう。
列車は移動手段、人によっては、不便な若桜鉄道を利用すること=時間の無駄と捉えるかもしれません。
しかし、列車に乗ることでしか見つけられないこと、感じられないことだってある。
大げさかもしれませんが、私たちは若桜鉄道を通じて、自分自身が必要とする大切な価値感を見直すきっかけを提案しているんです。
たまには自ら「不便さ」を享受することで、何かを発見できるかもしれません。